大腸3次元CTスクリーニング検査(CTC)
大腸がんは比較的進行が遅いため早期発見すればほとんど治ると言われていますが、全国の検診率は20%程度に低迷しています。 「大腸がんは死亡率、罹患[りかん]率ともに上昇しています。まず何より検診を気軽に受けてもらうことが予防の第一歩です。
近年、体への負担や、心理的抵抗が少ないCTCがスクリーニング検査として普及しつつあります。
増加傾向にある大腸がんの検査・治療については、便潜血検査、注腸X線検査、直腸指診検査、大腸内視鏡検査などの方法を行っています。
大腸3次元CTスクリーニング検査(CTC)への取り組み
当院の放射線科では、CT装置(64列)と3Dワークステーション・バーチャル内視鏡モードを活用した大腸検査を行っています。
従来の注腸X線検査では、バリウムを大腸に注入し、検査台の上で何度も寝返りを打っていただく必要があり、またバリウムを排出するのに気を使います。
また、大腸内視鏡検査は、挿入時の違和感や痛みがともなったり、まれに腸壁を傷つけたりすることもあります。
CTC検査は、大腸内を綺麗にするために前処置の必要性は他の検査と同様ですが 検査時間が短く、苦痛も少なく安全に受けられます。さらに、大腸周辺の臓器も観察できる利点があります。
しかし、大腸内視鏡のように 腸の色あいや便などとの区別がつかない またポリペクトミーなどの処置・手術ができない欠点もあります。
CTC検査の位置づけとしては、過去に大腸内視鏡検査で痛い思いを経験された方や、また検診などのスクリーニング検査を目的とされている方に適している検査だと考えます。
検査方法は、腸管内洗浄後、CT検査台の上で肛門から医療用炭酸ガスを注入し大腸を膨らませた状態でCT撮影を行うだけで終わります。
CTC検査目的・適応
- 大腸健診
- 大腸内視鏡検査の2次的検査。(フォローアップ)
- 過去に内視鏡検査・注腸検査などで苦痛を訴えられた方。
CTC検査のメリット
- 大腸内視鏡を用いないので苦痛が少ない。
- CT検査をするだけなので短時間で検査ができます。
- 大腸以外のその他臓器も容易に観察できます。
CTC検査のデメリット
- 内視鏡検査のように組織の鑑別ができません。
- 呼吸・蠕動などの動きに対し鮮鋭度が悪くなる。
- 被曝が増える。(仰臥位、腹臥位撮影)
検査手順
検査前日
(1)前処置:腸管内の洗浄(大腸X線検査と同等)を行います。
- 検査前日に検査食を食べていただきます。
- 就寝前に下剤の服用も必要です。
検査当日
(1)CTC検査
- 検査直前に腸管の蠕動を抑制する目的で注射を打つ必要があります。
- CT寝台上で炭酸ガス(CO2)で大腸全体を膨らませます。
- CT撮影は、仰臥位・腹臥位の2方向を撮影。
- 検査終了。
(2)画像解析
- 画像解析装置のコロノグラフィーソフトにて画像展開解析を行う。