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冠動脈疾患の治療

 近年、食生活を含む生活様式の欧米化にともない、日本でも動脈硬化性疾患が増加しつつあります。
その背景としての“メタボリックシンドローム”という言葉も今は広く周知されるところとなりました。

 心臓に関する動脈硬化性疾患の大部分は“狭心症”あるいは“心筋梗塞症”という病気です。 心臓の働きは全身の臓器に血液を介して酸素を供給する事ですが、心臓自身も臓器のひとつですので、自分自身にも血液すなわち酸素を供給する必要があります。
そのための大事な血管が“冠動脈”といわれるものです。ここに動脈硬化が起こり内腔が狭くなるか、あるいは閉塞してしまって胸痛等の症状が出現した状態が、“狭心症”“心筋梗塞症”です。

 その治療法としては大きく分けて3種類あります。
すなわち“薬物療法”“冠動脈バイパス術”“経皮的冠動脈形成術”です。
これらはそれぞれ長所短所を有しており、患者様ごとの特性に合わせて使い分けを行いながら治療を行ってゆきます。

経皮的冠動脈形成術

 昔は虚血性心疾患の治療としては“薬物療法”と“バイパス術”しかありませんでした。
しかし“薬物療法”はその確実性にて、また“バイパス療法”はその侵襲の大きさゆえの欠点をもっていました。

 1977年、スイス、チューリッヒのアンドレアス グリュンチィッヒがバルーン(風船)で狭くなった冠動脈を広げるという治療を世界に紹介。
その効果と簡便性のため全世界に広がり、今では冠動脈形成術として一般的治療となり行われています。
しかも技術的にも飛躍的に進歩を遂げ、“薬物溶出製ステント”という薬を塗ったステント(金属のメッシュ状の筒)を冠動脈内に留置することにより、経皮的冠動脈形成術のアキレス腱とも言われた“再狭窄”は激減しています。
また、虚血性心疾患の中でも急性心筋梗塞症は、その治療を一刻も早く行う必要があります。

 なぜならば血管が閉塞している間に心筋細胞の死が進行するため、できるだけ早く血流を再開して酸素を供給する必要があるからです。
その手段としては、経皮的冠動脈形成術が最も適しているということが証明されています。当院にても24時間体制で治療に取り組んでいます。

冠動脈バイパス術

 経皮的冠動脈形成術に先立つこと10年近い、歴史ある治療法です。
近年は次第に経皮的冠動脈形成術に取って代わられつつありますが、しかし病気の重症度によっては依然としてスタンダードな治療法です。
さらに最近の技術進歩によって、例えば人工心肺装置を使わずにバイパス手術が可能であるといった具合に、侵襲度ははるかに低くなっています。


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